Q 法人化するメリットは?(個人事業主と比べて)
A 信頼度が高まる、節税に繋がる場合がある、事業が継続しやすくなるの3点メリットがあります。
個人事業の法人化を検討する場合は、どんなメリットがあるかを理解することが大切です。特に節税に関するメリットは、事業規模や経費の発生状況によっては十分な効果が得られない可能性もありますので注意が必要です。税負担を想定して判断することをおすすめします。
Q 信頼度が高まるとは?
A ビジネスを行っていくうえで事業の信用を高めることは欠かせない要素です。法人化すれば事業主の死亡などによる廃業もなくなり、法人にふさわしい経営体制を整えることで信用度が上がると期待できます。
事業が拡大しやすくなれば金融機関の融資を受けやすくなる場合もあるでしょう。さらに、信用が高まると人材の確保に有利に働くといわれています。求職者は個人事業よりも法人のほうに信用度が高いと感じていることが多く、優秀な人材の多くが法人を選ぶことになります。法人化すれば優秀な人を集めやすくなるでしょう。
Q 節税に繋がるとは?
A 節税につながる主なポイントは4つあります。1つ目は所得税と法人税の税率の違いです。個人事業主の事業所得に対する所得税の最高税率は45%ですが、法人税の税率は一定の場合までは15%、それ以外の場合でも20%前半となっていて、所得金額によっては税負担が減少します。
2つ目は給与や退職金の扱いの違いです。法人化することで、事業主本人の報酬に対する給与所得控除分や家族従業員、また事業主本人への退職金分について所得を減らすことができるようになります。
3つ目は保険料です。個人事業の場合は原則として生命保険料などを必要経費とすることはできず、所得控除の生命保険料控除を活用して少額の節税が許されているだけです。しかし、法人化して法人契約で掛け捨て保険などに加入すれば、基本的には保険料の分だけ法人所得を減らせます。
4つ目は欠損金の繰越です。個人事業の場合、赤字は3年しか繰り越せません。しかし、法人の場合は個人事業の3倍程度の期間繰り越せます。
Q 事業が継続しやすくなるとは?
A 個人事業の場合は事業主が死亡すると相続人が事業承継しなければそのまま廃業となります。そのため、取引先などは法人よりも個人事業と取引するほうがリスクは高いと感じるのが一般的です。法人化することで、オーナーとなる社長の死亡が法人の存続に直接影響を与えることがなくなるメリットがあります。
また、相続による個人事業の相続よりも、法人の株式を相続するほうが、支配権の維持や遺産分割対策がしやすいというメリットもあります。個人事業の場合は、相続手続きが遅れると事業用の口座が凍結されることもありますが、法人の場合はそういったリスクもありません。
Q 法人化のタイミングは?(売上金額、事業所得、時期、など)
A 法人成りするタイミングは主に2つのポイントを中心に判断するとよいでしょう。1つは利益額で、個人事業として所得が大きくなってきた場合、法人成りすることによって所得に対する税負担が減らせる可能性があります。所得税などの負担と法人税などの負担の転換点に合わせて法人成りするとよいでしょう。
もう1つは売上高で、過去の売上高が一定金額を超えてきたタイミングに合わせて法人成りすることで、消費税の納税負担を2年間先延ばしできる可能性があります。また、特定の季節に売上ピークがくるような事業の場合は、売上のピーク前に法人成りの手続きが終わるように逆算して法人成りのスケジュールを組むことも大切です。
Q 法人化成りするために必要な手続きは?
A 法人成りすることを決めた場合は、各種手続きを滞りなく進めることが大切です。法人設立に必要となる定款認証や資本金払込、登記などの手続きを進め、資産などの移行を行った上で、税務関係や社会保険関係の手続きについても期限までに必要な書類を提出して確実に行う必要があります。また、個人事業を廃業する手続きも忘れずに行うようにしましょう。
Q 株式会社?合同会社?
A 合同会社の認知度は今ひとつだとしても、コスト面のメリットを考えたら採用を検討してみる価値はあります。
会社設立のためのお金はあまりかけられないのなら、まずは合同会社を立ち上げてから株式会社に移行することも可能です。一人、または少人数での会社立ち上げを考えているのなら合同会社のメリットを十分活用できます。
合同会社から株式会社への組織変更には手続きと費用が必要となりますので、事前に把握しておきましょう。
Q 設立した後、他に必要なことはありますか?
A 登記が終わったあとにも開業までに行わなければならない手続きがあります。ようやく登記を終わらせてからも多くの手続きが残っていて少しうんざりとしてしまった方もいるかもしれません。ですがこれらをしっかりと行わなければ、正式な会社と認められないばかりか、懲罰を受けてしまう可能性もありますので、忘れずに期限内で対応しましょう。